TSUBASA Novel 2

□深傷
1ページ/1ページ







「黒様って、なに考えてるかわかりやすいよなぁ」
「テメェがわかりにくすぎるんだろ」
「理解はできないけどさ、うん、でもわかるよ」
「なんだそりゃ。会話する気ねぇだろお前」
「理屈で動くオレとはやっぱり違うんだよね」
「そうかよ」
「君、オレのことなんで生かしたのか自分でもわかってないよきっと。生かしたいから生かしたとか理由にもならない」
「あん時の話はやめろ」
「なんで?」
「目覚めて一発目のセリフが強烈すぎて未だにショック死しそうになる」
「あはっ。一応ダメージ受けてくれてたんだー」
「そう見えなかったか?」
「知ってたけどね」
「だいたいお前自分で傷つけた俺を見て傷ついてただろ」
「そう見えた?」
「見えなかった。だがそうだっただろ?」
「君のイメージするオレって随分しおらしいよねぇ」
「お前は嘘はつくが、自分から他人傷つけたがるやつじゃねぇ」
「オレに一番傷つけられた人間の言うセリフじゃないね」

 君の傷さえオレのもの。
 傷口を抉る爪。嘘に塗れた赤。唇を這わせて。
 オレが君を許すまで。
 君がオレを許すまで。









end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ