ロイエド小説

□マスタングの子飼い
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12歳という若さで国歌錬金術師資格を取得したエドワード=エルリックは二つ名を“鋼”とし、アメストリス国軍大佐で焔の錬金術師でもあるロイ=マスタングが後見人を務めることとなった


この日、エドワードは大総統に挨拶をするため、ロイと共に中央司令部を訪れていた


司令部内に入ると皆がこっちを見ながらヒソヒソと話している


―なぁアイツだろ?最年少で国家資格を取った奴って―


―鋼の錬金術師とか言うらしいぜ―


―名前の割に可愛い顔してんじゃん―


「なんか感じ悪ぃ…」


「仕方ないさ、皆君に興味があるのだろう」


ロイと会話をしていると聞き慣れない単語が耳に入ってきた


―なんでもマスタング大佐の子飼いだって噂だぜ?―


「なぁ、“コガイ”って何だ?」


エドワードの問いかけにロイは少し困ったように苦笑する


「普通は子供の頃から守り、教育し、育てるという意味だったり、自分の派閥に属する者という意味なのだが…この場合は性的な意味合いも含まれるだろうな」


「性的?」


「ああ、皆は私が性的な面でも君を自分の物にしていると思ってるんだろう」


「なっ!…んな訳あるかよ!」


今にも飛び掛かっていきそうな勢いのエドワードをロイが制す


「落ち着きたまえ、鋼の」


「何でだよ!アンタ悔しくねぇのかよ!!」


「別にどうという事は無いさ、半分はやっかみだ、いちいち気にする必要は無い」


そう言って先に歩き出すロイの後をエドワードも渋々着いて行く







大総統へ挨拶を済ませ、部屋から出ようとするエドワードとロイ


「ああ、ちょっと待ちたまえ、マスタング大佐」


何か話があるのかロイだけを呼び止める大総統


「鋼の、先に1階の受付横のロビーで待っていなさい」


エドワードは分かった、と言って言われた通りにロビーに向かった







数分後、ロビーでロイを待つエドワードに一人の男が近付いて来た


「エドワード=エルリックさんですよね?マスタング大佐がお呼びです」


「大佐が?」


「ええ、何か話があるとかで…3階の資料室ですので案内します」


男の言葉にエドワードは素直に着いて行く







3階の資料室は薄暗くじめじめとしていた


「なぁ、本当にこんな所に大佐がいるの…」





ドカッ――‥





言い終わらないうちに何かで後ろから頭を殴られ、エドワードはそのまま気を失った







目を覚ますと目の前に先程の男がニヤニヤして立っていた


両手は縄で縛られておりその身体は半分吊されている状態で身動きも取れない


男を睨み付けるものの、男は動じる様子も無く鼻で笑った


「俺をどうするつもりだよ」


「どうって…こうするのさ」


そう言って男はエドワードのモノをズボンの上から強く握った


「うあっ!!やめろ…っ離せ!!」


「無駄だ、ここは防音になってて普段から人の来ないところだからな。助けを呼んでも誰も来ないさ…こういう事は慣れているんだろう?あのマスタングの子飼いなんだから、せいぜい可愛がってやるさ」







「すっかり遅くなってしまったな」


ロイは大総統との話を終えるとエドワードが待っているであろうロビーへと向かった


しかし、そこにはエドワードの姿は無くロイはため息をついた


「はぁ、大人しく待つことも出来んのか」


仕方なくロイは受付の女性に聞くことにした


「すまないが、鋼の…エドワード=エルリックはどこに行ったか知らないか?」


ロイが尋ねると受付の女性が一瞬、妙な顔をした


「エドワードさんなら15分ぐらい前にマスタング大佐が呼んでいると言って男の人が連れていきましたが…」


「何!?場所は!!」


「ええと、確か3階の資料室だったと…」


それを聞くや否やロイは走り出し、3階へと続く階段を駆け上がった







3階には誰もおらず、部屋には内側から鍵が掛けてあった





バタン――!!





扉を蹴破って入ってみれば、そこには服を無理矢理脱がされながらも必死に抵抗するエドワードの姿があった


「大佐…」


エドワードはロイの姿を見た途端、今まで我慢していたのであろう涙を溢れさせた


その涙を見た瞬間、ロイはエドワードの側に居た男を殴り倒していた


「貴様ぁ!!」


何度も何度も目の前の男を殴った。それこそ、男が気を失うまで


「大佐!!」


エドワードの叫び声でようやく我に返ったロイは、エドワードの方を振り返った


「それ以上やったら死んじゃうよ、俺は平気、だからさ…」


無理に笑おうとするエドワードが痛々しかった


ロイがエドワードの側までやってきて手と足の縄を解いてやると、急に支えが無くなったエドワードは倒れるようにロイにもたれ掛かる


「遅くなってすまなかった…私が付いていながら君にこんな思いを…怖い思いをさせてしまったな…本当にすまない」


そのまま抱きしめてやるとエドワードはロイにしがみつき泣きじゃくった


「大佐…ッ…怖かった…ヒック…動けなくて…あいつの舌が…俺の身体を…ウッ…気持ち悪くて…すごく…怖かった…ヒック…」


エドワードのはだけた服からは無数の紅い跡が覗いており、下もズボンこそ脱がされていないものの何度か握られたのだろう、ソコだけシワが寄っている


ロイはエドワードの頭を抱え込むように抱きしめて、少しでも落ち着くように優しく背中を撫でてやった


しばらくそうしていると落ち着いたのかエドワードがゆっくり顔を上げた


「大丈夫か?」


優しく微笑んで言うと、エドワードは恥ずかしくなったのか俯いてコクン、と頷いた


「そのままじゃ気持ちが悪いだろう、シャワーを浴びるといい」


「うん…」


返事をしたまま動こうとしないエドワードを不思議に思って顔を覗き込む


「どうした?」


「うん…なんかさ、安心したら腰抜けて……立てない。」


これには流石のロイも苦笑した







自分の軍服を羽織らせ、エドワードの前に背中を向けて屈む


「?」


「立てないのだろう?」


ロイのしようとしている事に気付いたエドワードが慌てる


「いいって!何とか自分で立って歩くから」


「無理をするな」


有無を言わさぬロイの声音にエドワードは仕方なくロイの首に手を回す


しっかりとエドワードを背負い、一定のスピードで歩くロイの背中は大きくて温かかった


父親とはこういうものなのか、とエドワードはぼんやり思った


そしてまた置いていかれるのではないかと不安になって、思わずロイの首に回した手に力を込めた


「鋼の…少し苦しいのだが」


力を込めた手を緩めようとしないエドワードにロイは仕方ない、と諦めた


しばらくすると後ろからすやすやと穏やかな寝息が聞こえてきて、ロイは思わず苦笑する








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