ロイエド小説
□手紙
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あの日…
俺は無理矢理、大佐に犯された――‥
今思えば、大佐はきっと、こうなることを予期していたんだと思う…
久しぶりにイーストシティに戻って来たエドワードは、報告書を提出する為にロイが居る執務室へ向かった
「やあ、鋼の…ずいぶん見ないうちに背が縮んだのでは無いか?」
「誰が目に見えないほどの豆粒ドチビだぁ!!」
そんな相変わらずの会話が一段落した時、ロイが口を開いた
「家に鋼のが喜びそうな珍しい文献があるんだが、見に来ないか?」
急な誘いだったが、珍しい文献と聞いてエドワードは二つ返事でロイの家に行くことを承諾した
エドワードが帰った後、ロイは机の中に仕舞ってあった書簡を眺めた
任務内容は大規模なテロリストのアジトに単身乗り込み壊滅させろというものだ
成功すれば大手柄だが、失敗すれば死ぬかもしれない危険な任務だった
夕方になりエドワードがロイの家に向かっていると雨が降ってきた
傘を持っていなかったが、すぐ止むだろうとそのまま走っていたのだが、雨は止むどころか激しさを増してロイの家に着く頃には服も髪もびしょ濡れだった
呼び鈴を鳴らすとしばらくしてロイが出てきたが、ずぶ濡れのエドワードを見て苦笑した
「そのままだと風邪を引く、中に入って風呂でも入りなさい」
エドワードは一瞬迷ったが、やはり濡れた身体は寒くロイの言葉に甘えることにした
風呂に入って温まったエドワードは濡れた服を着るわけにもいかず、ロイが貸してくれたバスローブを身に纏ってリビングへ向かった
リビングで一人ワインを傾けていたロイはエドワードの姿を見て固まった
今のエドワードは風呂上がりで頬が紅潮しており、髪も濡れてとても艶めかしく煽情的だった
そんなエドワードの姿にロイは抑えていた理性がぷつり、と切れるのを感じた
いきなりソファーに押し倒されたエドワードが身動きを取れないでいると、目の前にロイの顔が迫ってきた
怖くてぎゅっと目をつぶると唇に柔らかい感触が当たった
キスされたのだと分かり抗議の声を上げようと口を開くが、その隙間にロイの舌が入ってきて舌を絡めとられる
抵抗しようにも押さえ付けるロイの力が強すぎて身動きが取れず、口も塞がれているので、ただされるがままになっているしかなかった
散々、前も後ろも弄られたあげく、幾度となくロイの欲望を注がれたソコは切れて血が流れ出していた
―俺はただ痛みに耐えながら、そんな事をする大佐が怖くて、信じられなくて涙を流すしかなかったんだ―
ロイがハッと我に返ると、目の前に涙を流しながらぐったりするエドワードの姿があった
ロイは自分がしたことに激しく嫌悪して、思わず自嘲的な笑みを浮かべた
そして気を失っているエドワードの身を清めてベッドに運んだ
眠っているエドワードの髪を梳くように何度も撫でながら、愛おしげに見つめるロイの顔はとても優しかった
エドワードが目を覚ますとそこには誰もいなく、時計を見ると明け方の4時を回ったところだった
痛む身体を引きずりながら家の中を探してみるが、ロイの姿は何処にもなく、エドワードは溢れてくる涙を拭いながらまた部屋に戻る
テーブルの上にはシワ一つ無く綺麗に畳んであるエドワードの服と、ロイの言っていた珍しい文献が置いてあった
しばらくして涙も止まり落ち着いたエドワードが、リビングに行くと一人分の朝食が置いてあり、エドワードはどうしようか迷ったがお腹も空いていたので食べることにした
そこでエドワードは昨日報告書を出していなかったことに気付く
今はロイに会いたくなかったが提出しない訳にもいかないので仕方なく東方司令部へ向かった
執務室に入るとロイが辛そうな表情でこっちを見ていた
「昨日は済まなかったね…あんなことをして…身体は大丈夫か?」
ロイの言葉にエドワードは昨日のことを思い出して無言で俯く
そのまま机を挟んで前に立つと報告書を渡した
ロイがそれを受け取るとエドワードが小さな声で呟いた
「…本…」
ロイはその単語だけでエドワードが何を言いたいのか分かったようだ
「あの文献は君に用意したものだ、持っていくといい」
普段ならここで
「大佐が俺に物くれるなんて何か裏があるんじゃねぇの?」
「失礼だな、私だってたまにはそういう時もあるのだよ、いらないなら返したまえ」
「ぅゎぁ、嘘です!!大佐様、有り難く使わせていただきます」
「最初から素直にそう言えばいいのだ」
なんて軽口を言い合うのだが、今は沈黙が訪れるだけ、それを少し寂しく思うエドワード
すると突然、ロイの手がエドワードの方へ伸びてくる
エドワードは思わずビクッとして目をつぶった
その様子にロイは傷付いた表情で伸ばしかけていた手を引いた
「髪にゴミが付いていたのでね…」
エドワードはこれ以上その場に居たくなくて早足で扉へ向かう
「鋼の」
背中に声を掛けられて振り返る
「気を付けて、私はいつでも君達の旅の無事を祈っているから」
優しげに目を細めて語りかけるロイに違和感を感じたがそれよりも早くここから出たくて返事もせずに扉を閉めた
それを後で後悔することになるなんて思いもせずに――‥
それから1週間後、ロイはあの危険な任務についた
ごく小数の兵を伴って乗り込んだアジトは予想以上に敵の数が多く、ロイは苦戦した
それでも何とか、あと一歩のところまで追い詰めた
しかし、物陰に隠れていた敵に気付くのが一瞬遅れた
ドンッ――‥
火柱が上がるのと鉛玉がロイの身体を貫くのは同時だった…