ヒルセナ放課後5題

□保護者の目を盗んでキス
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「なかなかうまくいかないなぁ。。。」
瀬那は浮かない表情で、走り続ける。
足取りは軽いのに、気分はとても重かった。

マネージャーではなくて、プレーヤーになりたい。
瀬那は蛭魔や他の部員たちに何度もそう頼んだ。
最初は渋っていた蛭魔も、諦めない瀬那に折れた。
折りしもマネージャーとして鈴音も入部した。
瀬那は心置きなく、ランニングバックの練習を始めることができた。

だがその後、瀬那は全然満足しなかった。
とにかくアメフトらしい練習をさせてもらえなかったからだ。
ランニングやらパスキャッチなどはさせてくれる。
だが連係や試合形式の練習には入れてもらえなかったのだ。
つまりラインマンと対峙する状況は皆無。
レシーバーのモン太ですら、タックルを受けたりしているのに。

瀬那は盛大に文句を言った。
これではランニングバックの練習にならない。
ここでも蛭魔は渋った。
だが瀬那はちゃんと練習させてくれないなら、もう血を飲ませないとまで宣言した。

そこでようやくラインマンたちと試合形式の練習をしたが、またしても問題発生だ。
ラインマン−十文字たちは、本気で当たってこない。
おそらくは瀬那の身体を心配してくれているのだろう。
だが真剣にやってくれない練習は、瀬那にとってはストレスにしかならない。

瀬那は試合形式の練習を抜けて、1人でロードワークに出た。
川沿いのランニングコースは風が爽やかで心地いいのに、ため息が止まらない。
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