ヒルセナ放課後5題

□呼び出し
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「何だ?オラァ!」
「テメーらこそ何なんだ!コラァ!」
放課後の泥門高校の校門前で、怒声が響く。
下校しようとする生徒たちは、眉を潜めながらその光景を遠巻きにしていた。

表向きは泥門高校アメフト部員、実は魔物である者たちは、よくからまれる。
相手はどこかの高校の不良グループの皆様だ。
やはり魔の力を持つ者たちが集まることで、独特のオーラがあるのだろう。
それは不良と呼ばれる者たちの衝動を刺激するらしい。

最初は校内、次第に校外。
とにかくよく意味のない怒声を浴びせられ、喧嘩を売られるのだ。
相手は一見してヤンキーと見受けられる者たち限定だ。

蛭魔や武蔵は、もう彼らに心動かされることはない。
何を言われても眉1つ動かさず、相手にならない。
言葉を発せず、視線すら合わせず、相手を空気のように扱うのだ。
それでも大抵の者は、それだけでビビッて逃げる。
それこそ何百年も生きる百戦錬磨の魔物の威圧感だ。
ヤンキーたちはそれを本能で感じ取るのだ。

だが正真正銘の15歳、十文字たちはまだまだその域には達しない。
負けず嫌いで血気盛んな若い魔物たちは、力が有り余っている。
怒鳴られればそれ以上の大声で、殴られれば容赦なく殴り返す。
とにかく売られた喧嘩は買う主義を実践中だ。
それでもこちらから売らないし、人間相手なので手加減はするが。

今日も十文字たちは放課後、呼び出しを受けていた。
相手は3年生の不良グループ。
彼ら曰く「泥門高校を仕切っているグループ」だという。
呼び出されたのは、十文字、黒木、戸叶だ。
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