-短編-
□相合い傘
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「失礼しました」
私は今、職員室にプリントを提出しに来たのだが……
先生と少し話をして外に出て見れば、雨が降っていた。
確か、天気予報でも雨が降ると言っていたが、
急いでいたので頭に無かった。
「ハァ……もうこんな時間か……部活の人達ももういないや……」
雨の中、傘をささずに帰る事を考えると憂鬱だ。
「何してるんです?」
後ろから、見知った声が聞こえた。
「あ、南野君。今から帰るとこ。」
「傘……忘れたんですね?」
「はは……正解」
流石南野君 聞かなくとも分かるのね…… あ、見れば分かるか。
「家まで送りましょうか?」
「え!? 良いの!?」
「えぇ」
「じゃあ……甘えちゃおっかな?」
−−−−−−−−
……今更なのだか……
近くね!?
まあ、2人1つの傘に入るのだ。
近いのは当たり前なのだが……
心臓バクバクなってる。
あー破裂しそうな勢いだ……
実は、入学式の時から好きだったのだ。
一目惚れって奴?
席がたまたま隣で最初は好きというよりキレイだなって思った。
そしたら目が合って、好きになってしまった。
だけどやっぱり、ライバルが多い。
話かけようにもすごい睨まれ押し潰されそうな感じ。
「みょうじさん?」
「はっ!? なっなんでしょーか?!」
「ボーッとしてたので……」
いかんいかん。
あんまり考え過ぎてたら駄目になってしまう。
それに、今は2人なのだ。こういう時にこそ、アピールしなくてわ……
「ごっごめん。色々考え事しちゃって……」
「そうですか」
そう言って笑う彼。
……ふつくしい!!
さっきから、物凄く良い香りがする。
薔薇の香り……
って!! またこんな事考えて……
そんな事を考えているうちに、家が見えてきた……
結局何も話せなかった……
くっ……!!何やってるんだ!私!!
「みょうじさん……」
「はい?」
刹那。頬に何かが当たった
一瞬の事で理解が出来なかった。
「なっなな……///」
やっとの事で、何があったのか理解する事が出来た。
上手く言葉が出ない。
「くすっ 顔、真っ赤ですよ?」
あぁ……爆発しそうだ。
「君の事が好き。良い返事を待ってますよ?」
それだけ言って彼は歩き出した。
私はというと、ボーッと
数分間、その場で立ち尽くした。