−I and you and previous existence−

□11
1ページ/1ページ


 学校につき、直ぐに元就のもとへ

 教室にいないので
 多分図書室にいるのであろう。

 扉を開くと、カウンターで暇そうに漫画を 読む図書委員と
 またもや、難しそうな本を読む元就の姿。

 元就の横に座り
「昨日はありがとう」
 耳元で小さめに言ってみた。

 すると、元就は本を棚に戻し私の手を引いて
 図書室を出た。

「なまえ」

「何?」

「これからは何かあったら何時でも我に言うが良い」

 分かったな?と
 おでこにキスを落とし
 何も無かったかのように歩いていく。

 幸いな事に、周りには誰もいなかった。

 元就の背中を追い、
 腕に絡んでみた。

 元就はチラリと私を見たが
 笑いかけてみると
 目をつぶり顔を背けた。

 なんだか可愛くて
 腕に力を入れてみた。

「ありがとっ!」

 今度は少し大きな声で

「……嗚呼」

 と、小さな返事が返ってきた。


 暖かな日差しを浴びて
 二人並んで歩く廊下。

 きっとこの心の暖かさは
 君がくれた物。


(ありがとうと……)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ