BOOK1

□あなたのために
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「飛鷹ー!一緒にサッカーしようぜっ」

「…キャプテン、いえ…俺は」

雷門中に響くのは、イナズマジャパン円堂守の元気な声。
それとは裏腹に、げっそりと疲れきっている飛鷹征矢。

「なぁ、しようぜ?お互いの事わかり合うためにさ!」

円堂は、3日前から飛鷹に付き纏いずっとサッカーに誘い続けている。
飛鷹はと言うと、円堂に下手な自分のプレーを見せたくないから断り続けている。
飛鷹は円堂が好きで。
円堂も飛鷹が好き。
でもいつもすれ違うこの二人。

いったいいつになったらくっつくのかしら。
マネージャー秋はそう思った。

「なぁ、飛鷹ぁ…頼むよー」
朝も夜も昼も付き纏う。
お陰で円堂がいなくても円堂の声が耳に残って夜もまともに眠れない。

「とーびーたーかーっ!!!!」

「………ですから俺は」

「円堂、いい加減にしろ。」

飽きれきった風丸が円堂を連れて部屋に戻って行く。

やっと解放された。と
部屋でのんびりする。
けれど、
やはりキャプテンがいないと少し淋しい気がする。
サッカー、一緒にしてやればよかったかな、
とまで思う。
やっぱり俺はキャプテンが好きなんだ。
こんな俺に好かれたキャプテンはどう思うんだろうな。
きっとそれを知ってしまったらキャプテンは一生俺をサッカーに誘わないだろう。

そう思うと胸が苦しくなった。
「キャプテン、…」
彼の名前は呼ばず、俺は外に練習をしに行く。
大好きな彼とサッカーを恥じなく出来る様に。
そうなるまで一体どれだけ練習すればいいのかわからない。
でも大好きな人とサッカーをするためなら。
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