BOOK1

□両想い
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「あ、鬼道…。」

学校の帰り道、赤いマントに目が止まる。
前を横切った彼は正に今戦っている帝国学園のキャプテン鬼道。
俺は鬼道に片思い中。
こんな所で会うなんてラッキーかも。

「おーいっちょっと待てよ!」

呼びかけてみる、
が彼の足は止まる事はなかった。
「なぁ、待てって、」

肩に触れようとしたがそれは無駄になった。
「触るな、クズ。」
ひゅっと鬼道は赤いマントをたなびかせて避けた。
「鬼道、こんな所で何してんの?」

「クズに教える必要はない。」
即座に返される返事。
ちょっと悔しくて言い返す。
「む…、聞いてんだからちゃんと答えろよ」
「答えただろう。」

……そう言われると、何も言い返せない。
黙っていると、鬼道は去ろうと歩き出した。

「あ…ま、待てよ!」
「今度は何だ。」
鬼道は後ろを向いたままだけど立ち止まってくれた。

もう少し鬼道と話していたい。
だけど話題も代わりになる理由も思いつかない。

「いや、その…」

そうこうしている内にまた鬼道が歩きだす。

「き、鬼道…待ってくれよ」
今度は呼び止めても止まってくれなかった。

どうしよう、
鬼道が行っちゃう、

「待って鬼道!」
どうしようも出来なくて、衝動的に俺は思いきり鬼道に抱きついた。
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