BOOK1

□GI
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「風丸ー、一緒に帰ろぉぜ…?」


放課後の学校、
風丸と一緒に帰ろうと教室に戻って来た。
が、風丸は誰かと喋っているようだ。


「あの、付き合ってください!風丸君の事、ずっと前から好きだったの!////」

ばっ、と。咄嗟にドアの後ろに隠れる。
え?かかか風丸が好き?
それは、同じクラスの女子の西崎の声だった。
今の台詞はまさに告白。
急に胸がずきずきする。

「ごめん、俺他に好きな奴いるから。」

風丸の優しい声。

その内に西崎は泣きわめいて
教室からもの凄い勢いで出て行った。
と、その時。
ドンッ!
ドア越しに隠れていた円堂とその女子が思いっきりぶつかり合う。

「いってぇっ!!!!」

「うあああああん!」
西崎の叫び声にも似た泣き声。
耳がキンキンする。

「なんだ円堂、盗み聞きか?」
後から、
教室から出てくる風丸。
それに気づいた西崎は思いっきり俺の頬を叩いた。
ばちんっ
鈍い痛みが頬に伝わる。

「円堂なんか大嫌いっ!私の風丸君に何したのようっ!気持ち悪いのよっホモ円堂ッ!」

「円堂の悪口を言うな!」


「やめろ風丸!もう良いよ…。俺が悪かったよ、西崎。
でも俺、風丸の事恋愛感情として好きじゃないし、ホモじゃないからさ。」


俺は嘘をついた。
何度目の嘘をついたんだろう。

俺は正直な事が言えなくて、悔しくて悔しくて、その場から逃げ出した。



俺の馬鹿、
本当は風丸の事。


好きなのに…。
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