BOOK1
□彼なら良かった
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「久し振りだな、円堂」
豪炎寺は静かな喫茶店に連れて行ってくれた。
温かい紅茶が、
凄く胸にしみた。
「…久し振り。」
一息ついたその時。
ふと、メニュー表を見て思ってしまった。
“鬼道はどんな飲み物が好き何だろうか。”
「円堂…っ?…何故泣く。」
あれ?
俺、泣いてるのか?
豪炎寺のその言葉で、
自分が泣いている事に気づいた
「何があったんだ、円堂。」
優しい声だった。
フィールドで強くて頼れるFWが
とても温かかった。
「困った時は言え!泣いたままじゃわからないだろう。」
何で豪炎寺はこんなに優しいのだろうか。
“鬼道とは大違いだ。”
「ごめ…おれ…っぐ、ひっく」
更に涙が溢れてくる。
鬼道にもこんな風に接して欲しかった。
「ごう、っえんじぃ…ぅぐっ…っ…ごめ、んっ…お、れ」
「わ…わかった。ここで泣くな!俺の家に来い!」
泣き喚く寸前の俺を、
豪炎寺は家に招いてくれた。