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とある日の午後、セルティと新羅はいつもの様にソファに並んで座りながらテレビ(世界ふ●ぎ発見!)を見ている。セルティが夢中になって画面に釘付けになっていると、不意に新羅が話題を振った。

「そういえば、杏里ちゃんにウチの養子にならないかって言ったんだ」

『何!?』

セルティはPDAと体で驚きを現す。そんな彼女を可愛いと思いながら新羅はくすりと笑った。

「杏里ちゃんもセルティが好きみたいだし、もし養子になればセルティはお母さんになるんだ。戸籍上は他人だけど、そんなの関係無しに、実質的な母親になれば良い」

『!! お母さん!?』

杏里にお母さんと呼ばれているのを想像したのか、首から出ている影が戸惑いと嬉しさで揺らめいている。セルティも杏里を気に入ってるから尚更だろう。
罪歌の事も首の事もお互いに理解している二人だからか、新羅は良い家庭が出来そうだ、と微笑む。

(でも、この歳で女子高生の父親かぁ…)

世間から冷たい目で見られそうだ。あ、もう見られてるか、と一人納得した新羅。その隣のセルティは何処かそわそわしている。

「? どうしたんだい、セルティ?」

『実はな…もうすぐ杏里ちゃんが来るんだ』

「ああ、今の話題からして少し恥ずかしいのかな?でもそんなセルティも可愛いよ!大丈夫、杏里ちゃんは家族がいないみたいだし快く受け入れてくれるさ!セルティなら良いお母さんになるんだろうなぁ!」

暴走し始めた恋人の頭を軽く叩いていると、インターホンが鳴った。セルティはビクリと肩を跳ねさせてから勢い良く立ち上がり、玄関まで小走りで向かう。

(き、来た…!どうしよう、言ってみようかな?一度新羅が言ったみたいだし、でも断られたら、いや困らせてしまうか?)

悶々と考えながらセルティは玄関のドアを開ける。其処には紙袋を手にした杏里が立っていた。


『いらっしゃい、待ってたよ。さ、上がって』

「あ、…お、お邪魔します」

PDAを差し出された杏里は戸惑いながらも部屋へ上がり、靴を揃える。行儀良い姿にセルティは感心した。

「やぁ、いらっしゃい。杏里ちゃん」

「こんにちは」

杏里はお辞儀してから、手にしていた紙袋を差し出す。頭にハテナを浮かべたまま、新羅はそれを受け取った。

「何だい?此は」

「え、と…さっき竜ヶ峰君と紀田君がしたクジの景品ですが…多分、マグカップです」

「ありがとう!この間静雄に壊されたから、丁度新しいのが欲しかったんだ」

『わざわざごめんね』

セルティに対して杏里は慌てて否定する。新羅がさっそく開けると、色違いのマグカップが三つ包みに入っていた。
それを見た新羅は優しげに微笑む。
セルティも新羅の表情の意味を悟ったのか、杏里にPDAの画面を差し出す。


PDAに打ち込まれた文字を読んで、杏里が照れたように笑うまで、あともう少し。




















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