訓練部屋。

□スペイン大好き
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ロマーノが久々にスペインの家を訪れると、家主であるスペインは居間で一人なにかを聴いていた


音がうるさいのか、ロマーノが居ることには全く気が付かない



最初は、なんだよスペインの奴、せっかく俺がきてやったのに、とか。
音楽なんかより俺に構えよこのやろー、とか思っていたのだが、しばらくしてその曲がなんの曲かわかってくると、一気に顔に熱が集まってきた。

きっと今の自分はさぞかし顔がトマトのように赤くなっていることだろう。



彼の居る部屋からは、ボーノトマトボーノトマトとリズムを刻む、自分の歌声が流れていた

前に弟のヴェネチアーノと収録した、自分の歌『おいしい☆トマトのうた』だった



スペインは、この歌をどう思って聴いてくれているのだろう?

歌ってる最中の自分は最初、こんなの恥ずかしくて歌えるか!と喚いていたものだが、歌ってみると案外ノれるものだ。


その、頑張って録った歌を誰かに、ましてや自分が一番好きな人に聴いてもらえるのが嬉しくて。


扉を一枚挟んだ部屋の向こうにいる、同じテンポで体を揺らし続ける彼を、しばらく見つめていた。
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