拍手・リクエスト小説

□ホワイトデーver.
1ページ/3ページ

〜高杉晋助ver.〜

春が訪れた3月でも、まだ寒さが完全に消えていなかった。
暖かい日もあれば、寒い日もあった。
墨色の空に金剛石の様に輝く月夜、旧港通りには巨大な船が停泊していた。
海が見える方向で最上階の薄暗い部屋の窓からは、橙色の光が見える。
その部屋は鬼兵隊の鬼頭領 高杉晋助の自室だ。
総督だけであって、眺めが良さそうな部屋だろう。

「おいおい、抵抗しても無駄な体力を使うだけって思わねぇのか?」
橙色の光の満ちる広く薄暗い部屋。朱色と黒色で統一された華やかな部屋は遊女の部屋を連想させられる。この部屋の主である高杉晋助は、青い帯は解き気味で薄紅色の着物の胸元が肌蹴て自分から逃げようとする貴方の両手首を後ろから拘束してニヤニヤと笑う。
二人とも布団の上にいて、枕元には大量のホワイトチョコソースのボトル。
しかも用意は出来ていると言わんばかりにキャップは全部外されている。キャップ達は布団から離れた所に散らばっていた。
これらを見た貴方は美しい魔物の様な男に何をされるか容易に想像が出来た。だから逃げ出そうとしているのだ。悲しい事に男女の力の差の所為で自分の計画が成功していないが。

「ククク、安心しな。これはお前には使わねぇよ。……お前に俺を食わせる為に用意したんだ」
耳元に呟かされたその言葉に貴方はぴたりと暴れるのを止めた。
彼の言葉の意味を納得出来なくて不思議そうな顔をして高杉の方へ振り向くと、高杉はあの不敵な顔を浮かべていた。

「今日は先月愛しい女から贈り物を受け取った男は“お返し”をするんだろ?だから今日はお前の好きな様に俺を食えって事だ」

貴方の両手首を解放し、高杉は自分の胸元を肌蹴させ上半身を貴方の前で晒した。引き締まった肉体
に魅力を感じる。そして傍にある1本のチョコソースのボトルを手に取り逆さにしてぎゅと絞る。自分の体にかけているのだ。白く甘い香りがするとろりとした液体は高杉の顔や鎖骨、腹部を汚し始めた。美しい彼の耽美で誘惑的な行動に貴方は耳まで真っ赤にしてぱくぱくと酸素を求める魚の様に口を動かして見ていた。
『俺を食え』というのはそういうことかと理解しながら。

ある程度かけたなと思った高杉はぽいっとボトルを投げ捨てて、人差し指を誘惑するようにちょいちょいと貴方の方へ動かし妖艶に笑った。
白いソースをかけた彼の姿は、最高級な遊女顔負けする程の艶やかだ。
「……ククク、さぁ好きなだけ食いな……今日の主役はお前だぜ?」

この後貴方と高杉はどう過ごしたのかはご想像にお任せいたします。

〜高杉晋助ver. 完〜

お次は原型キレネンコです!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ