素敵頂き物

□Lovery Baby
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今日から朝5時集合。
厳しい練習の日々の始まりだ。
三橋は、いつも時間ギリギリに登校する。
だが、今はまだ4時半。
余裕をもって母に起こしてもらったせいか、いささか早過ぎたようだ。

(時間あるから、ボールでも磨こ)

一番乗りは、いつも阿部。
それを知っているから、足取りも軽く、着替えるために部室へ向かう。

「あれ? 三橋、今日は早いな」
「あっ! 阿部君…お、はよっ」
「はよ。こんな早くに、どうかしたのか?」
「う、ううん。…夢、見ちゃって…早く、目覚めた…から」
「あそ」

三橋が息を飲むのが分かった。
慌てて自分の行動を振り返る。

(素っ気なさ過ぎたかな、オレ)

付き合い始めて、1ヵ月。
二人の仲は部内で公認されてるし、キスは日課になった。エッチも、この間やっと念願叶った。
だが、親しくなれたとは言っても、まだお互いに気を遣う。

「な、何の夢見たんだ?」
「えと、は、浜ちゃん…ウヒ」

――ムカ

「へぇ…どんな?」
「ギシギシ荘で、野球、した!」

さぞかし楽しい野球だったんだろう。思い出したらしい三橋は、満面の笑みだ。

――ムカムカ

「…楽しそうだな…」
「うんっ! は、浜ちゃんに、ほめられた…!」

――ムカムカムカ

「そりゃよかったな」
「うん!! あと……ぅ…」

ふと三橋の動きが止まる。また何かビビらせたかと、阿部が三橋の顔を見ると、耳まで真っ赤にさせていた。

まさか!!
浜田に何かされたのかっ!?

瞬間、阿部の不機嫌は、爆発寸前にまで膨らんだ。
そんな変化も露知らず、言う勇気が出たらしい三橋が、ぽつぽつと話し出す。
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