GIFT
□そんな午後
1ページ/1ページ
「これ美味しかった?」
「おー。でもあっちも美味い」
「まじか」
アフタヌーンティーに、甘党のベルに合わせて置かれたたくさんのドルチェ。それに上の会話からわかるように平和な昼下がりだ。
俺以外。
この平和な昼下がりに似合わない書類の山。これと睨めっこする俺とは裏腹にこいつらは楽しそうな会話を繰り広げる。
「クリーム付いてる」
「ん、どこ?」
「あー触んな、のびたじゃん。ほら、とれた」
「ありがとベル」
ふわりと優しい風が吹きこんだ。こいつらの回りにはなんだか甘い、まるで恋人同士の空気が漂ってるようだ。言っておくが、彼女の恋人は俺だ。なのになんで俺が仲間外れなんだろうか。
「それ一口ちょうだい」
「仕方ないなあ。はい、あーん」
パクリ。
ベルが彼女のフォークからケーキを食べた。なにもその食べさせ方じゃなくても良いだろうに。さっきから全くと言って良い程書類に集中出来ない。それになんかイライラしてきた。
「う゛おぉおい」
「スク、どしたの?」
「…なんでもねぇ」
そう口にしたもののイライラはおさまんねーし、ベルがニヤニヤしてるのが見えるし、彼女もにたりと笑っている。
「なにスク、妬いた?妬いた?」
「ち、ちげぇ!」
「ふーん?」
にたにた。ちくしょう、こいつ分かっててやってやがったなぁ。
「はいスク、あーん」
「……ッ」
甘いドルチェのような雰囲気にくらりと目眩がした。
そんな午後、お相手はわたくしでした
(ししっバカップルうざ)
(はっはー!良いだろう良いだろう!)