REBORN!小説

□君の名
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「骸様…」
ポツリとその名を呼んでみた。
ただの慰めにしかならないって分かってる。
彼の名を口にしたところで彼に会えるわけでもない。
ーーだって彼は今、いないのだから。
それでも、分かっていても無性に彼に話しかけたくなる。
でもそれはただの甘え。
あの人の為に頑張っても空回りしてばかり。
結局自分一人では何も出来ないんだ。
犬や千種、ボス、そして私が助けるべき骸様にまで助けられてる。
今もボス達に助けられてる。
そんな自分が悲しくて。虚しくて。
無駄だと分かっていてもまたその名を呼んでしまう。
心の隙間を癒やしたいが為に。
「骸様…」
「呼びましたか? 僕の可愛いクローム」
「! っ骸様」
彼が今会いに来てくれるなんて思わなかったからすごくびっくりした。
いつの間にかいつもの精神世界にいた。
「どうしたんですか。そんな悲しそうな顔をして」
「だって… そばに骸様がいないのが寂しくて…」
そう。グダグダ考えてた割にいつも想いはひとつだった。
私は骸様が好き。
今まであまり人と接してこなかったからこの気持ちがどういうものなのかはっきり分からない。
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