もう大分日も落ちて暗くなってきた街には、街灯がつき始める。
「研修初日、お疲れさまー!これから忙しくなるだろうけど頑張ってね?あ、ちょっと買い出ししたいからスーパー寄っていい?」
「うむ。構わぬぞ、」
ふわりと笑う幸。
珍しく時間通り退勤できた俺様たちはスーパーに向かって歩き出した。
「ん。ありがと」
考えてみたら不思議なもので。
俺様たち、10年は会ってなかったはずなのに
何でか、ずっと一緒だったみたいに感じる。
「幸は外で待つ?それとも一緒にスーパー行く?」
「俺とて荷物くらいは持てるからな、ついて行くぞ」
「まじ?ありがとう」
じゃあ今日は買い溜めちゃおうかなあー、なんて言ったら現金かな。
スーパーは夕方市を過ぎ、値引きシールがあちこちに貼られていた。
それが嬉しくてウキウキしていたら
幸に笑われた。ちょっと恥ずかしい。
帰りは宣言通り荷物を持ってくれたんだけど
全部一人で持っちゃうもんだから、ちょっぴり良心が痛んだ。
そういうのは女の子にやったげなさいよ、全く…
「今鍵開けるからね、」
いつもと同じ道を辿ると、あっという間に家に着く。
「お邪魔するでござる」
そんな緊張しなくていいよ?俺様今一人暮らしだから。
そう言うと、幸は少し恥ずかしそうに
「そうか」とだけ答えた。
冷蔵庫に荷物をしまい、お茶を入れる。
「オムライスでいい?」
頂くでござる、と俺様が淹れたお茶を飲む幸に言うと
「うむ。オムライスか…楽しみにしておるぞ!」
佐助は料理が上手かったからなぁ、と本当にたのしそうな顔で言うもんだから、これは美味しいのを作ってやらなきゃなってなるよね、狡いなあ!もう!
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