other-main-

□夢の力
1ページ/1ページ



(またこの夢だ…。アイツの顔が赤い…そう、棗の………。)




「…ろ、起きろ!」

「へっ?」

「ニヤニヤしながら寝てんじゃねーよ。キモい。」

(ムカつく…!)

ギロッ

「な、何よ!」

睨まれても私は強気で返す。

「お前、今ムカつくって思っただろ?」

「ゲッ………。流架ー!!」

ぎゅっ

「えっ!?ボクっ?」

「べーっ!棗のバカ!」

「は?何言ってんの?お前の方がバカだろ。」

「違うもん!棗の方がバカだし!」

「二人ともそこまでにしときなよ。」

そう言って口喧嘩を仲裁する流架。
私の一日はいつもここから始まる。棗と流架と三人で授業をサボり、私が寝てしまうと棗が起こしてくれて…それから喧嘩。それをとめる流架はすごい。

「そういえば最近ちゃんと眠れてるの、柚季?何だかすごく眠そうだけど……。」

「うん。多分それ、私のアリスの力だと思う。」

「あぁ、そうか。“夢”のアリスの力にあてられたんだ。」

「夢みてんのか?」

「うん、それが最近同じ夢ばっかりなの。」

「どんな夢?」

「棗が顔真っ赤にして何か言ってた。」

「「は?」」

「アホらしい。行くぞ、流架。」

「あっー!ちょっ、置いてかないでよ!」




バタンッ

「棗〜。置いてくことないじゃん!」

「…バカには付き合いきれねぇ。」

ガンッ

「いったぁー!何すんのよ、動物体質!」

「さっきからうるさいわよ!棗君が迷惑しているじゃない!」

「あっそ。あ、そうだ。流架ー!森に行こっ!」

「あ、そうだね。ボクもちょっと用事あるし。棗、行ってくるね。」

「あぁ。」

「ちょっと、私の話聞きなさいよ!」

「べーっ。」

バタンッ

「いいんですか、棗さん?」

「好きにさせとけ。ボソッ…アイツは…柚季は俺にとって大事な奴だから……。」

棗の呟きは誰にも聞こえなかった。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ