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□夢の力
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(またこの夢だ…。アイツの顔が赤い…そう、棗の………。)
「…ろ、起きろ!」
「へっ?」
「ニヤニヤしながら寝てんじゃねーよ。キモい。」
(ムカつく…!)
ギロッ
「な、何よ!」
睨まれても私は強気で返す。
「お前、今ムカつくって思っただろ?」
「ゲッ………。流架ー!!」
ぎゅっ
「えっ!?ボクっ?」
「べーっ!棗のバカ!」
「は?何言ってんの?お前の方がバカだろ。」
「違うもん!棗の方がバカだし!」
「二人ともそこまでにしときなよ。」
そう言って口喧嘩を仲裁する流架。
私の一日はいつもここから始まる。棗と流架と三人で授業をサボり、私が寝てしまうと棗が起こしてくれて…それから喧嘩。それをとめる流架はすごい。
「そういえば最近ちゃんと眠れてるの、柚季?何だかすごく眠そうだけど……。」
「うん。多分それ、私のアリスの力だと思う。」
「あぁ、そうか。“夢”のアリスの力にあてられたんだ。」
「夢みてんのか?」
「うん、それが最近同じ夢ばっかりなの。」
「どんな夢?」
「棗が顔真っ赤にして何か言ってた。」
「「は?」」
「アホらしい。行くぞ、流架。」
「あっー!ちょっ、置いてかないでよ!」
バタンッ
「棗〜。置いてくことないじゃん!」
「…バカには付き合いきれねぇ。」
ガンッ
「いったぁー!何すんのよ、動物体質!」
「さっきからうるさいわよ!棗君が迷惑しているじゃない!」
「あっそ。あ、そうだ。流架ー!森に行こっ!」
「あ、そうだね。ボクもちょっと用事あるし。棗、行ってくるね。」
「あぁ。」
「ちょっと、私の話聞きなさいよ!」
「べーっ。」
バタンッ
「いいんですか、棗さん?」
「好きにさせとけ。ボソッ…アイツは…柚季は俺にとって大事な奴だから……。」
棗の呟きは誰にも聞こえなかった。