空飛ぶ広報室
□Supplement Episode 8 U
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「秋恵、本当に可愛いよなあ〜」
「ですよねえ〜なんて言うか……ドキドキするのに癒されます」
入間基地での撮影の帰り、リカは密着取材の為に坂手たちの車ではなく空井たちの車に同乗した。
車中、片山と比嘉が芳川秋恵の可愛さに対する感想を言い合っているのを何の気なしに聞いていた。
「比嘉ぁ、いいのかあ?嫁さん」
「妻は別なので。あ、この『別』は『特別』の『別』ですから」
「あーもーこれだからリア充はよーっ」
片山は頭を抱えて叫ぶ。
「リアジュウ……って何ですか?」
空井は聞き慣れない言葉に反応し、首を傾げて聞いた。
「リアル……現実が充実してるってことです。ネットのスラングでいわゆる彼氏彼女がいるってことですかね」
リカは空井の問いに答えた。
「あー、比嘉さん既婚者だから」
空井は「さすが稲葉さん!!」と感嘆する。
そんな空井に『何がさすがなんだろ?』とリカは胸中で呟き苦笑した。
「片山一尉も頑張って下さい」
「上からかよっ!?」
片山は比嘉に向かって叫んだが、何やら思い出したように空井の方に向き直った。
「まあ空井もある意味リア充じゃね?」
「な、なんでですかっ!? じ、自分、彼女いませんからっ!!」
空井は何となくルームミラー越しにリカを一瞥した。ミラー越しにリカと目が合って、空井は慌てて視線を正面に戻した。
「秋恵ちゃん。ホントに焼けぼっくいってこと無いの?いい雰囲気だったじゃねえか?」
「そ、そんなことありませんよっ!!それに焼けぼっくいって!?違いますからねっ!!」
空井はムキになって叫んだ。
お願いだから稲葉さんの前でそんなこと言わないで下さいっ!!
空井の心の内が聞こえるような気がした片山はニヤニヤと笑って空井を見ている。
「……それとも……」
リカは急に視線を感じ、そちらに目を向けると片山と比嘉は空井とリカを疑いの眼で交互に見ていた。
「……なんですかその目は……?」
その目はリカがPVのテーマを提案したとき、嬉しさのあまりに空井がリカの手を握ったときに向けられた目と同じだった。
「なんですかその目はっ!?」
叫ぶリカに対し、空井は真っ赤になって無言でハンドルを握っていた。
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