空飛ぶ広報室

□Supplement Episode 8 T
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「柚木三佐。稲葉さんに電話って……プライベートですか?」
「そりゃそうでしょ。稲葉のアテンドは空井だからね」
「いつの間に……」
 最初、あんなに反発し合っていたのに、女ってわかんねえ……。
 片山は胸中で呟いた。

「まあガツガツだったけどさ、だいぶ可愛くなったじゃん?稲葉」
「そうですよねえ。可愛くなりました」
 比嘉が柚木の言葉に同意した。
「恋、でもしてんじゃないの?」
「稲葉さんがっ!?」
 鷺坂の突然の言葉にいつの間にか戻って来ていた空井は大袈裟に反応した。
「なんだよ空井。いつ戻って来たんだよ?つか何か知ってんのか?」
「な、何も知らないですっあのイケメンが……彼氏じゃなかったってことくらいで……」
「彼氏じゃなかったのかっ!?」
「じゃあ遠慮なくいけますね」
「そ、そんなっ……」
 空井は比嘉の言葉に真っ赤になった。
「それとも何か?芳川秋恵と再会して焼けぼっくいに火ってヤツか?」
 片山がそう言うと空井はブンブンと手を振った。
「ちっ、違いますっ!! 全然そんなっ」
「じゃあ稲葉選ぶの?」
「選ぶとか……って……」
 柚木の問いかけに空井は真っ赤なままボソボソと呟くと、そのまま俯いてしまった。
「なんだよ〜はっきりしねえなあ〜」
 片山は憮然として言うと、
「そんなことより仕事しましょうよっ!?」
 空井は真っ赤な顔のまま訴えた。
「そんなことじゃねえだろ?稲ぴょんに秋恵なんて両手に花過ぎるぞっ!!」
「なんでそうなるんですかっ!?」
 ギャアギャアと騒ぐ片山たちに柚木は嘆息する。

「何腰引けてんだか……ホント、へタレだね、空井は……」

 柚木は誰にも聞こえないくらい小さく呟いた。


 end
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