空飛ぶ広報室

□Boys Talk ―第2R (最強タッグ善戦)
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「で?どうなのよ?」
 少し酒が回ってきた空井に再度聞いてみる。
「……何が……ですか……?」
「だ〜か〜ら〜、そっちの話だよ」
「……言えるわけないでしょ……」
 まだだったか……。
 まあ飲め飲めと空井のグラスに日本酒を注ぐ。

「てかさ、今日基地で聞いたんだけどさ」
 今日松島基地で仕入れた情報。
 それをここで暴露することにする。
「お前の愛妻家振り、基地内じゃ有名だぞ」
「へ?」
「今日もさ、渉外室とか島崎三佐に聞いたんだけどさ〜」
 島崎三佐はブルーインパルスが芦屋にいたときに面識がある。
 空井の共通の知り合いってこともあり、空井ネタで結構盛り上がったこともある。
 今日仕入れたネタは空井が嫁の写真を肌身離さず持っていること。
 それと……。
「お前、稲ぴょんのことリカぴょんって呼んでんだって?」
「っ!?」
「へ〜そ〜なんだ〜何か意外」
 藤枝はニタニタと笑っている。
「いいいいいやいやいやいや、そそそそ、そんなことはっ」
 空井はかなりテンパっている。しかも手もブンブンと振るオーバーアクション。
 正直……面白い。
「ドモリすぎドモリすぎ」
「い〜ね〜空井ちゃん」
「藤枝ちゃ〜ん、空井ちゃんになってるよ〜」
「何か『空井ちゃん』って感じだな〜って」
「い〜ね〜」
「な、何なんですかっ!?」
 ちょっと反抗的な空井ちゃんに爆弾を投下する。
「リカぴょん」
「!?」
「……て言ったら怒られるんだって?」
「!?……何故それをっ!?」
 この仕草、見たことあるぞー。あ、北の大地で稲ぴょんと何かあったんじゃないか疑惑のときだ。
 かなりのオーバーアクション。わかりやすいんだよ、空井。

「出所はいいとして、もしかしてだけどさ」
 実は柚木だったりする。ま、一応その情報を得て松島で更に情報収集したわけだけど。だけど基地でも言ってるとは想定外だったが。
 柚木情報では『稲ぴょんまではいいとして、リカぴょんは恥ずかしすぎますっ!!』と、言われている本人が真っ赤な顔で嘆いてたらしい。
『空井、面白すぎ。どんだけ可愛がってんだよ』と柚木は爆笑していたが。

 問題はこの後。ちょっとカマかけてみる。

「それでお預け、食らったり……してたりする?」
「……」
 空井は自分からも藤枝からも目を逸らして黙りこくってしまった。
 ……これはもしかして……。
「食らってんのかよーっ!!」
 つい叫んでしまった。
 藤枝の顔を見ると、こっちも楽しそうな顔をしている。
 すると空井は目を瞠って少し泣きそうな顔になった。
 これは……図星だな。
「どうしたらいいですかっ!?」
 空井は神妙な顔で声を上げた。
 彼にはよっぽどの事態らしい。

「そんなの簡単じゃん」
 簡単な話だ。
「「言わなきゃいいだけじゃん」」
 俺と藤枝は声がカブッた。でもきっとカブるだろうな、とは思った。
 それくらい簡単な話だ。
「そんなことわかってんですよーっでもね、つい言っちゃうんですよっ!!」
 空井にとっては簡単ではないらしい。そんなに難しい問題か?とは思うが。
 てか空井のヤツ、だんだん酔いがまわってきたと見える。エンジンかかってきたな。

「最初はね、怒らせてもすぐに許してくれたんですよ。『あんまり会えないんだから喧嘩なんか勿体無いし』って」
 ほう〜稲ぴょんも可愛いトコあるじゃん。でもそれを言ったらきっと空井に火を点ける。……いろんな意味で。コイツ、稲ぴょんのことになると結構凶暴だし。
「最近はすぐに許してくれなくって……」
 ちょっと泣きそう?おいおい、深刻そうだなあ、空井。
「それでお預けかあ〜」
 気の毒ちゃあ気の毒だけど、今の空井はただの幸せ馬鹿だ。惚気てるだけだ。

「てさか、やっぱさ、お預け食らってなかったらさ、会うたびにしちゃってるの?」
 藤枝は深刻そうな空井に聞いた。
 てかツッコんだね、藤枝ちゃん!! 空井も上手くその誘導に引っかかるか?
「だってなかなか会えないんですよっ!!」
 引っかかった!!
 握り拳を作って訴えるように言う空井。あれ?こんなヤツだったっけ?
 やっぱストイックなヤツは箍が外れるとガツガツなんだなあ……てか夫婦揃ってガツガツかよ〜意味は違うけど。などとしみじみ思ってみる。

「……そっかあ〜お前も辛いわなあ〜」
 と、同情する素振りを見せたら、
「そんなことないです」
 きっぱりと、真剣な顔で答えられた。
 なんだよー同情する振りしてやったのに。
 ……もしかして……。
「……まさか……お前そういう店……」
 空井に限ってそんな……もし行ってたら稲ぴょんにチクッてやる。
「行きませんっ!! 僕はリカが妻だってだけで満たされてるんですっ!!」
「ほう〜」
「それに毎日電話やSkypeで話してるからいいんです!!」
「まさか……電話とかSkypeでそういうこと……」
「しませんっ!!」
 お!?切り返し早えーっ!! 俺の言いたいことわかったか?
「俺、何も言ってないけど?」
 としらばっくれてみる。
「片山さんの言いたいことくらいわかりますよっ!!」
 空井の顔が真っ赤なのは酒のせいじゃないな。
「うわあ〜大祐のダイスケベーッ!!」
「子供ですかっ!?」
「何とでも言えっ!!」
 ただの惚気じゃないか。ダイスケベのくせに生意気な。
「まあまあ。てか空井くん。お預け食らってもずっとってワケじゃないでしょ?」
 暫く俺と空井のやり取りをニヤニヤしながら傍観していた藤枝が口を挟んできた。
「まあ……はい……」
 なんだよ。お預け食らっても結局させて貰ってんじゃないか。
 てかやっぱり酒が回ってるか?頑なにこっち系の話を拒否ってた空井とは思えなくなってきた。
 もうお預けについての相談ってとこか?
「じゃあさ、そういうプレイだと思いなよ」
「そういう……プレイ?」
「うっわあーっ!! 藤枝ちゃん、言うねえーっ!!」
 とか言いながら、実は自分もわかってなかったりする。どういうことだ?
「え?何ですか?それ」
 え?え?どういうプレイなのか早く教えて、藤枝ちゃん。
「そうだねえ……お預け食らってないときと食らったとき、どっちの方が燃える?」
「え?え?え?」
 え?え?え?
「お預け食らった後の方が、燃えるってことない?まあ焦らされた状態と同じだよね」
「……焦らされた……」
「そ。焦らされると余計に燃えるでしょ?」
 なるほどーっ、そうかっ!! 焦らしもテクニックの一つかあ。さすが藤枝ちゃーん!! 伊達に浮名流してないなー!!
「……」
 無言の空井。まだ半信半疑ってとこか。
「てコトだっ空井っ!!万事解決だっ!!」
 半ば強引に解決とする。
「……そう……なんですかね?」
 まだ半信半疑?
「「そうだっ!!」」
 二人声が合った。同じこと思ってたか、藤枝ちゃん。
「そうかあ……」
 お、納得したか?
「でもさ、そうしょっちゅうそれやっちゃうととありがたみ無くなるからね」
「はいっ!!」
 藤枝の忠告に空井は元気よく返事した。
「いい返事だねえ〜」

 フフフ……空井……バカ……じゃなくて、可愛いヤツめ……。


 end

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