空飛ぶ広報室
□溢れ出るものV
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一度抑え込んだ想いが、再び溢れ出した。
違う。本当はずっと溢れたままだった。
この想いは、最初からとどまることを知らなかった。
息せき切って走って、お互いの元に辿り着いて。
そして。
「稲葉さんのことっ、幸せに出来るかどうかわからないけどっ」
「私の幸せはっ、私が決めますっ」
「―はいっ!!」
手を伸ばし合って固く抱き合う。
どんなに離れても、空が繋がっている限り、この溢れる思いはとどまることを知らないだろう。
身体が離れて、お互い照れが残る表情で微笑み合った。
そのとき、ブルーインパルスが空を翔けていった。
二人で見上げる。
そして、どちらともなく手を握り合った。
この手から伝わる想い。
二人の想いは同じなのだと教えてくれた。
もう二度と離さない。
あのときお互い手離してしまったけれど、今度は絶対に。
エレメントとして、二人で並んで一緒に人生という空を飛び続ける。
この手のぬくもりに、そう誓った。
溢れ出るもの。それは。
永遠に枯れることのない、あなたへの愛―。
end