踊る大捜査線

□After all I love you―やっぱり愛してる―
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 先に休憩に出たすみれが屋上で夜空を見上げていると、青島がすみれの元まで走ってきた。
「そんなに走らなくてもあたしはもう逃げない……っぶっ!!」
 いきなり青島に捕まり、そのまま抱きすくめられた。
「やっと抱き締められた……」
「ホントにもう……」
 すみれは青島の背中に腕を回す。
「一回さ、走り出したら止まんないんだよね、俺」
「よく知ってる」
「だからさ、一回すみれさんを好きだって口に出しちゃったらさ、もう止まんないんだよね」
「青島くん……」

 ああ、愛されてる……しみじみと実感する。
 今まで全くそういう言葉を口にして貰ったことなどなかった。元より、同僚以上恋人未満でそんな甘い雰囲気など皆無だった。
 そう思っているのは当人たちだけなのだが……。

「……あたしも……好きよ……青島くんのこと」
 青島の胸に耳を当て、溢れそうな想いを告げる。
 青島の鼓動の音が少し早くて、でもとても心地いい音。
 彼が生きてここにいるという証拠。

「好きって言われるのってさ、こんなに嬉しいことなんだね」
 青島はすみれの黒髪に唇を寄せる。
「本当に好きな人に言われるから嬉しいのよ」
「だね」
 そして抱き締め合う力を互いに強めた。

「やっぱり愛してる。すみれさん」

『やっぱり愛してる……仕事』
 あのとき、この命が助かったとわかったとき、彼女が言ったセリフ。
 そして、この間、気持ちを告げあったときにも彼女はこのセリフを引用した。

 今度は最後の部分を変えて。
 
「あたしも……やっぱり愛してる……青島くん」

 そしてあのときのセリフを言う。
 やっぱりこのセリフが一番気持ちが伝わる気がする。

 そして二人、微笑み合った。



「……倉庫のときよりラブラブだ……」

 そんな二人を屋上の扉の陰に隠れて見ている不審人物が一人。

「……てか僕って何でいつもこの二人の出歯亀みたいなことしてんだろ……?」
 その不審人物は真っ赤になりながら、そうボソッと呟いた。


 end
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