踊る大捜査線

□Telepathy−以心伝心−
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「すみれさん、どんな感じ?」
 青島は書類から顔も上げずに言った。
「う〜ん……この報告書上げたら終わりかな」
 すみれも同じく顔も上げずに返事する。
「わかった」
 青島はそのまま書類書きに没頭した。

 定時を過ぎた頃……。
「すみれさん、出来た?」
 青島はまたも顔を上げずにすみれに声をかける。
「うん。青島君は?」
「俺もうちょっと」
「あっそ」
 すみれはそう言うと、さっさと自分の荷物を抱え「お疲れさま」と言って出て行った。

 和久伸次郎はそんなすみれの様子をキョトンとしながら見つめる。

(あれ?)

 青島の方を見ると別に何を咎めるわけでもなく、黙々と書類書きに精を出している。
 しかし、何となく急いでいるように見えるのは気のせいだろうか?

 10分後、青島も書類を書き終え席を立つ。
「お疲れっ」
 そう言って早々に立ち去ってしまった。

 その様子を和久は呆然と眺める。

(約束、してたんじゃないのかな?)

 でもあの様子じゃ気のせいだったのかも知れない。
 でも冒頭の会話は約束してる人たちの会話だよなぁ……?

 和久はそんなことを思ったが、まいっかと休憩しようと席を立ち、休憩室に行こうとすると、

「あ、俺ブラックね」
「あたしはカフェオレ」
「……はい」

 緒方と夏美に言われ、とぼとぼと歩く。
 仕方がない。これも下っ端の勤めか……。俗に言うパシリだな……。胸中で嘆息する。


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