踊る大捜査線

□Barren fight
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「そんなナンパするような男なんてロクなモンじゃないね」
「なんなのさっきから!? 感じ悪いわねっ!!」
「ホントのこと言っただけです」
「まあまあ……」
 ついに開戦のようだ。真下は意を決して臨もうとするが、
「何よっ!! 青島君なんて被害者の女の人が美人だったらいっつも鼻の下伸ばしてるじゃないっ!!」
「伸ばしてませんっ!!」
「相手が美人だとすぐ態度変えるじゃない。わかりやすいのよ、青島君はっ!!」
「すみれさんだってね、キャリアのいい男見ると目の色変えるだろっ!!」
「今は変えてないわよっ!! 昔の話でしょっ!?」
「昔でも変えてたのは変わりないねっ!!」
「青島君は今でも変わらないけどねっ!!」
「着物で回し蹴りする人に言われたくないね!!」
「なんですって!?」
 全く割り込む隙もなく、二人の言い争いは続く。

「……あの……」
 一応試してみるが、全く相手にもされず。

「大体ねっ、青島君はいつもいい加減なのよっ!! どんな女の子にもいい顔しちゃってさ、陰でどれだけの女の子泣かしてきたのかしらね?」
「何? すみれさん、ヤキモチ?」
 ニヤニヤして言う青島に、
「はぁっ!? 誰が青島君なんかにヤキモチ焼くのよっ!!」
 すみれは叫んだ。
「青島君なんかぁ〜? そんな俺に奢らせてばっかじゃんっ!! 俺がすみれさんに逆らえないのわかっててやってるだろっ!? 他の男にもあんなかわいい顔で強請ってんじゃないのっ!?」
「他の男になんか強請ってないわよっ!! 青島君だけよっ!! それにね、青島君がいっつも無茶ばっかりするから見張ってんの!! 青島君みたいな無茶な男の面倒なんて、あたし以外見れないじゃないっ!?」
「俺だって!! すみれさんみたいな食いしん坊で男投げ飛ばしちゃう人の面倒なんか俺しか見れないだろっ!?!」
「あの……」
「「うるさいっ!!」」
「……僕、署長……」
 一蹴され、元・ネゴシエーターで現・署長あっさりと撃沈。

 てか、気付いてるのかな?

 なんだかんだ言って、お互いに束縛してるって。

 先輩はすみれさんが他の男を見るのが許せないし、すみれさんは先輩が他の女の子に優しくするのが許せない。

 今もお互いに告白し合ってるようなもんなんですけど……いい加減に気付いたらどうですか?

 って、きっと気付かないんでしょうけど。

 雪乃さんに話したら、きっと大笑いするだろうな。


 真下はいつ終わるとも知れない、二人の不毛な争いを呆然と眺めながら先行きの不安を感じつつ、でもこの相変わらずな二人に明るい未来が早く訪れてくれないかな……と心底願った。


 end
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