HQ!!夢

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 白いブレザーに茶色でチェック柄のスカート。
男子のズボンも同じ柄というお洒落な制服でも知られる青葉城西高校。
真新しいその制服に身を包む多くの新入生が、下駄箱前の掲示に屯していた。
しかし、それに目もくれず素通りしていく女子生徒が1人。
「立花!」
 長身で髪の毛が逆立った男子生徒が彼女を呼び止めた。
その後ろには、前髪をセンター分けにしたやはり長身の男子。
「金田一くん!国見くんも!」
「マジで青城に来たんだな。お前ならもっと頭いいとこ行けただろ」
 金田一ばかりが喋って、国見は黙って半開きの目を向けている。
「ここ私立だから親には反対されたんだけどね。特待生にならないと入れなかったから、寧ろ調度良かったよ」
「あー、それで特進クラスの1組確定ってわけか」
「2人はバレーの推薦だよね。同じクラスなの?」
「いや、俺は5組で国見は6組」
「みんなバラバラかぁ。でも部活ではまた一緒だね」
 立花はニコニコしているが、金田一と国見は訝しげに顔を見合わせた。
「・・・立花、もしかして知らないのか?」
「ん?なに?」

「青城のバレー部は――マネージャーとってないぞ」

 立花の笑顔が凍った。


 入学式の後はクラスで説明等が行われ、やがて放課後となった。
1年生の教室の前の廊下は、部活の勧誘に来た上級生と、それに揉まれる新入生でごった返している。
 バレー部のマネージャーになれないと分かった以上、どのように高校生活を送るかを考え直さなければならない。
とりあえず立花ももみくちゃにされる覚悟を決めて教室から一歩踏み出した。
「あ!立花さん!」
 知らない声に名前を呼ばれて立ち止まると、声の主は立花よりも目線が低かった。
クリーム色の綺麗な髪で大きな瞳を持つ、とても可愛らしい見た目だった。
しかしネクタイをしているので、信じ難いが男子のようだ。
「僕は3年の大沢優(すぐる)!新聞部の部長です」
 しかも年上のようなので二重に驚いた。
「あの、どうして私のことを・・・?」
「入学式で新入生代表の挨拶してたでしょ!特待生なんだね、すごいよ!」
「いえ、そんなこと――」
 突然大沢に腕を掴まれたので、立花は口をつぐんだ。
「早速だけど、うちの部活に入って欲しいんだ!」
「え!?そんないきなり!?」
「詳しいことは部室で説明するから、とりあえず一緒に来て!」
 立花の手を強く握ると、大沢は足早に歩き出した。



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