P*H*
□Retrace:] A Lost Raven―墜とされた鴉―
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あの成人の儀の日に起こったことを、ボクはほとんど覚えてはいない。
いや、ボクだけではないのだ。
あの場に居合わせた全ての者が、奴らが現れた後の記憶を残してはいなかった。
紅き衣の死神――アヴィスの使者を。
嘘だ。
坊ちゃんが、アヴィスに墜とされたなんて――
主人(が――ボクの主人(が――どこにも、いないなんて――…
「風邪ひいちゃいますヨォ?」
え――…?
「初めまして、ギルバート君。
私(はザークシーズ=ブレイクと申しマス」