SHORT

□悪魔は笑みを浮かべた。
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『…ここ、どこ…?』


―暗い。
他には誰もいない。


―ジャラ…。―



『!!? なにコレ!?』


手と足には手錠と鎖…。



―ガチャ…。


『!? だ、誰!?』



扉が開かれ、入ってきたのは―…。



『…おきたさ、ん…?』



「ようやく起きやしたかィ。」



―なんでそんなに、冷静なの?――



『沖田さ…早く助けて…っ!』



沖田さんはクスリと笑った。


「助ける…?何がですかィ?」



『え…?何、言って…。』


「俺達は今日からここで―」




――同棲するんでィ。――


頭が真っ白になった。
この人は何を言ってるの…?分からない分からない分からない分からない。



ーチュッ。


突然沖田さんに口付けられた。



『――!!?嫌ッ!!沖田さんやめてッ!!』


手足を動かせられないが精一杯抵抗した。



『ど、して…こんな事…。』


「っ…お前が、あんなヤツを選んだからッ…!」



『…え…?』



「土方なんかより…、俺の方がお前のこと、愛してんのに…ッ!!」


沖田さんは唇を噛み締め、俯いて嘆いた。


沖田さんが、私のコト…好き…?



「…だから、邪魔者が居ない二人だけの場所で、幸せに暮らすんでさァ…。」


今度は顔をあげて、ニコリと、冷たい笑顔を浮かべる。



『…ごめんなさい。私、土方さんの事が好き、だから貴方とは居られな…』


バチンッ!!


乾いた音が響き渡る。
左頬がズキズキと痛む。



「うるさいでさァ…。…アンタはもう、攘夷志士に殺された事になってまさァ…。だから、心配ありやせん。」



『…そんなっ…!!!』



悲しみのあまり、涙がポロポロと流れた。


――もう、土方さんに会えないの???――――



沖田さんに抱き締められる。



「…泣いても離しやせん。やっと手に入れたんですからねィ。これからは、死ぬまでずっと一緒でさァ。」



悪魔は笑みを浮かべた。
(彼を狂わせてしまったのはダレ?)
(彼自身?私?それとも―)    ―end―
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