□ヒメハジメ。★(没)
1ページ/2ページ




間もなく
2006年も終わろうとしている。







ヒメハジメ。







年が明けるその前に。

今年の汚れを落とそうという事で日吉を風呂へ促してやった。
そんなモノは、唯のとってつけた理由の一つに過ぎなくて
欲しいモノはもっと他にある。


部屋に流れるのは、大晦日独特の賑やかな空気ではない。
二人してそれは性に合わないらしく、番組はすぐに切り替えられて『ゆく年●る年』等と
いうその年齢からかけ離れたモノになった。
家庭が家庭なのか、年末年始はこれと決まっていたので仕方ない。
違うモノを見ようとしてみても、何故か落ち着かないというのも理由にあるのだが。


シャンプーなのか、石鹸の香りなのか、風呂の良い香りが漂うと日吉が上がってきたのが
わかった。
湯気がホカホカと体から舞い上がっている。
彼の肌はほんのりとピンク色に色付いていた。


「……あの…、
お風呂、ありがとうございました。」

「いえいえ、気持ち良かった?」

「…はい」
にっこりと笑ってやると、自分が腰掛けてるソファ―にペタペタと裸足で歩いてきて。
恥ずかし気に、オレの横へ腰を据えた。

なんとなく不自然にとられた距離が、微笑ましい。


この状況がいたたまれないのだろうか、
彼は、キョロキョロと部屋の周りを見回している。
何?と首を傾げて覗き込めば、かぁぁ、と頬を赤らめて下を向いた。

いい香りが鼻を擽る。

こんな時までも
新鮮だと思う。


いつまで経っても。

「なぁ…ひよ、」


呼ばれて、
ゆっくりと彼は顔を上げる。


「…っ、つめた…」

頬に添えた手の冷たさに、ビクリと肩を震わせる。

触れた手は
徒でさえも冷たいと感じずにおえないというのに、
彼の頬は遥かに他のそれより熱を帯びていて。
ごめんな、と
微笑めば彼の体は硬張り、その手が自然と自分の胸へしがみついてくる。
顔を近付け、腰をひきよせると
それに頷くように
唇を重ね合わせた。
何度も繰り返す優しい口付けに
もっともっとと、それだけでは足りず激しさを増す。

「…んっ、
ふ…んぅ//」


キスの合間から洩れ、呼吸を求めるその声は甘過ぎていけない。

もっと聞きたいと思う程に
体は彼へ近付き、退けようとする唇を許そうとしなかった。
彼の体をズルズルと引きずり覆い被さる。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ