企画小説

□そのとき一番眩しかった星に僕の名前つけてほしいな
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「別にどうでもいいだろ」

「う〜ん。いいけどさ・・・」

「なんだよ」

「綺麗だなって」

「は?」


意味が分からない。

支離滅裂じゃないかコイツ。

夜は突然言い出した昼の顔をじっと見る。

その昼の目は夜の髪に向いていた。

部屋の明かりではあるが、きらきらして見えるのだ。

昼は夜の髪を掴むと廊下の方に向ける。


「いててっ」

「やっぱり、月の光だと綺麗に光ってるね。」

「痛いって、何すんだよ。」

「ごめん。」

「ったく、乱暴だな」

「だって、見たくなったんだもん。ごめんね。」


掴んでいた所をさわさわ撫でられると何か変な気がする。

くすぐったいようなそうでないような。

夜は慌てて昼の手を払い落とした。

別にそれを昼は気にすることもなく半身を廊下に投げ出した。


「ちょっと休憩」

「おい。腹から冷えるぞ」

「だって、気持ちいいもん。君もやってみれば?」

「俺はいいよ。」

「なんで?」

「なんでもだ。」


そんな子供みたいな真似できるか。

といえば、君も同じ年じゃないか。と笑われた。

のらりくらりと昼はよく言う。

それがなんだか憎めなくって、抵抗するわけでもなく昼の言うことを結局は聞く羽目になってしまう。

それには絶対に嵌らないぞ。と今日は抵抗してみた。

ふっと昼に目をやる。

昼はじっと月を見ていた。







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