企画小説

□『離さないよ 繋いでたいの 僕は僕の手を』
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「あー!!!牛鬼来たんだな!!!」


そう言って元気よく大部屋の襖を開けたのは金色の髪を後ろに靡かせた男の子だった。

顔や手には枝に引っかけたときにできたのであろう怪我が目立つ。

鼻の頭に絆創膏が貼ってあった。


「こんにちは。若」

「なーなー、馬頭と牛頭来てる?」

「はい。そちらに。」

「牛鬼様!!!」


後ろで控えていた牛頭丸と馬頭丸はげんなりした顔で自分の主に抗議の声をあげた。

二人を確認するや否や、男の子―奴良家三代目の奴良リクは牛頭丸と馬頭丸の袖を引っ張る。


「遊ぼうぜ!なー、遊ぼう。遊ぼう!!!」

「うるせーな。」

「なーなーなー!!!牛頭!!!今日は鬼ごっこしようぜ!!!」

「それは俺じゃなくって馬頭に言え。俺はしねぇかんな」

「えー、やだ。やだ。馬頭だけじゃつまんねぇーじゃん。」


俺は牛頭とも遊びたいの!!!と駄々をこねはじめたリクに牛頭丸はため息をついた。

先ほどの発言に多少ショックを受けた馬頭丸はそうだ。と手を叩く。


「若。リクオさまは?」

「え・・・リクオ?」

「いつも一緒にいるじゃん。今日はどうしたの?」


いつもならリクの背後にぴたっとくっついているもう一人の三代目の姿がない。

問えばリクは嫌そうな顔で答えた。


「知らない。俺、アイツ嫌いだもん。」

「また。なんで?」

「すぐひっついてくるし。泣くし。弱いし、トロいし。だから、嫌い。」







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