企画小説
□生きて見せる僕が好きだったりした
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聞こえるのは波の音だけ。
椅子に座り、縁は暗い海と星が綺麗に光っている空を見ていた。
波の音に星の輝き。
ナニカを思い出しそうで思い出せない。
大切なナニカで絶対に忘れてはならないと思っていたものだったはずだ。
縁は星空に向かって手を伸ばした。
そうすればナニカをつかめるような気がした。
一番輝いているあの星に手が届いたら思い出せそうだ。
そんなことあるわけないのに。
縁は手を伸ばした。
届かないとわかってたのに。
届かないと分かったらため息が出た。
この日60回目のため息だった。
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