企画小説

□恥ずかしいと思う
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二人が来たのは町で一番高いクリスマスツリーのイルミネーションだった。

周りには同じものを目的にしてきた人らがたくさんいた。


「わあぁ。綺麗・・・」

「綺麗だけど人が多いな」

「は・・・はぐれないように。手握っててね。」

「・・・手なんかよりも」

「わっ」

「こうしたら、はぐれないだろ?」


ふわりと若菜を抱きかかえた鯉伴が不敵に笑う。

やっぱり大人は違うな・・・と若菜は紅くなりながら頷いた。

人よりも少し背の高い鯉伴に抱えられたので、よりはっきり見える。


「綺麗ね。鯉伴さん。これが見せたかったの!」

「・・・・うん。」

「はぁ・・・」

「綺麗だな。」

「うん。このツリーね、ニュースでもやってくるぐらいに有名なんだよ。」

「本当に綺麗だ。」

「・・・鯉伴さん?」


やけに熱っぽい声が聞こえたので、若菜は鯉伴を見た。

鯉伴はじっと若菜を見ながら、熱っぽい目と声でしきりに綺麗だと言っていた。


「あの・・・鯉伴さんっ。ツリーが!!」

「え?あぁ!!そ・・・そうだな。ツリーがな。うん。ツリーが綺麗だな!!そうだな!!!」

「う・・・」

「・・・」


二人で赤面しているのは、はたからみれば怪しかった。






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