企画小説
□恥ずかしいと思う
2ページ/4ページ
二人が来たのは町で一番高いクリスマスツリーのイルミネーションだった。
周りには同じものを目的にしてきた人らがたくさんいた。
「わあぁ。綺麗・・・」
「綺麗だけど人が多いな」
「は・・・はぐれないように。手握っててね。」
「・・・手なんかよりも」
「わっ」
「こうしたら、はぐれないだろ?」
ふわりと若菜を抱きかかえた鯉伴が不敵に笑う。
やっぱり大人は違うな・・・と若菜は紅くなりながら頷いた。
人よりも少し背の高い鯉伴に抱えられたので、よりはっきり見える。
「綺麗ね。鯉伴さん。これが見せたかったの!」
「・・・・うん。」
「はぁ・・・」
「綺麗だな。」
「うん。このツリーね、ニュースでもやってくるぐらいに有名なんだよ。」
「本当に綺麗だ。」
「・・・鯉伴さん?」
やけに熱っぽい声が聞こえたので、若菜は鯉伴を見た。
鯉伴はじっと若菜を見ながら、熱っぽい目と声でしきりに綺麗だと言っていた。
「あの・・・鯉伴さんっ。ツリーが!!」
「え?あぁ!!そ・・・そうだな。ツリーがな。うん。ツリーが綺麗だな!!そうだな!!!」
「う・・・」
「・・・」
二人で赤面しているのは、はたからみれば怪しかった。
.