企画小説
□恥ずかしいと思う
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若菜は嬉しそうに鯉伴の手を引いていた。
「こっち。こっち!!」
「おい、若菜。あんまり、走るなよ。なにも逃げやしないだろ。」
「だって・・・早く、鯉伴さんと見たいんだもん」
そう言って顔を紅く染める若菜は反則だと思う。
鯉伴は握られた手をぎゅっと握りしめた。
町はクリスマスと言う西洋の祭りの真っ最中だ。
西洋ごとには疎いのだが、若菜が嬉しそうに見せたいものがあると二人だけで、町に来ている。
そう思えば、西洋ありがとう。だ。
どこもかしこもカップルだらけで、町は完全
に浮かれモードだった。
鯉伴も例にもれずだけど。
(若菜と手を繋いで歩けるなんて夢のようだ・・・)
「ね。鯉伴さん。」
「ん?なんだ、若菜」
「あの・・・ね。その・・・クリスマスプレゼント・・・何がいい?」
「・・・プレゼント?」
「贈り物・・・私ね、ちゃんとお金貯めてたから、ケーキぐらいなら買えるよ!」
「贈り物ね・・・なら。俺は若菜がいいな」
さらっと恥ずかしいことを言って、二人で赤面する。
若菜はどうしていいのか分からずに、ちらっと鯉伴を見上げる。
「あ・・・その。行くか?」
「うん。」
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