企画小説
□言えばいいのに
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「クリスマス・・・?」
「そう!クリスマス!!!ぜひ、君たちを僕の家に招待したいんだ!!」
「何、何?清継くん宅でクリスマス?なんか楽しそう!」
「もちろん、世界中の有名パティシェにケーキを作ってもらっているからな。君たちもきっと気に入るさ」
「マジで!!!行く。絶対に行く!!!」
その一言で女の子が飛びついた。
リクオは友人の家でクリスマスを過ごしたことがなかったので、少し浮かれていた。
そんなリクオの肩に腕を回した、清継はこそっと耳元で話す。
「いいかい。奴良くん。」
「な・・・なに?」
こうやって話す時はあんまりロクなことを言われたことがない。
「君のお兄さんも呼んで欲しいんだけど。いいかい?」
「え・・・リクを?」
「だって。クリスマスなんだよ?奴良くん。憧れの人と過ごしたいと思うのが普通じゃないのかい?」
「・・・そうなのかな?・・・まぁ、聞いてみるよ」
「そうか、さすが奴良くんだな!!」
そう言って、大げさなぐらいに肩を叩かれた。
リクオは複雑な気持ちで頷いた。
清継は嬉しそうにまた、みんなの輪の中へと戻っていく。
(憧れの人と過ごしたいのか・・・僕の憧れの人って誰だろ?)
リクオはふっと考えた。
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