企画小説
□甘やかし方
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「くそっ」
そう言ってコントローラーを床に投げ捨てた、幼馴染のラグナロクをちらっと横目で見た。
今日はクリスマス。
なのに、親は仕事でいなくって。
年の離れた幼馴染と過ごすことになったのだったが、ラグナロクはさっきからずっとゲームをしている。
クロナはやることがなくって、部屋のすみっこで小さくなっていた。
が、それが気に食わなかったのか、早々にラグナロクの横に座らされた。
「・・・」
「あー・・・んだよ」
「何もないよ。」
「そうかよ。見んじゃねーよ」
「・・・ごめん」
「『なさい』だろ!!」
手加減なく殴られた。
機嫌が悪いときは(悪くなくっても)すぐに殴るこの幼馴染がクロナは苦手だった。
そんなことは本人には言えないけど。
また、ゲームを始めたラグナロクの横でクロナは枕を抱きかかえた。
(つまんない・・・)
ゲームが苦手なクロナにとっては見ているのは苦痛だった。
本人には言えないけど。
「ね。」
「あぁ?」
「僕。つまらないんだ。」
「で?」
「・・・うじゅ・・・帰ってもいいかな?」
殴られた。
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