企画小説
□忘却
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別に金平糖は好きじゃない。
それは初めて人から貰ったもので、宗次郎中では特別な何かだった。
「すみません。金平糖ください。」
「おや、またあんたかい。好きだね」
「はい。」
手に金平糖を乗せられて、宗次郎はますます笑顔になる。
甘いものは好きじゃないと言っていたが志々雄さんにもあげよう。
そう思って宗次郎はもと来た道を歩いていた。
その時だった。
「おい。坊主」
「いいもんもってんな」
「・・・」
「兄ちゃんにもくれや」
「僕。お使い中なんです。早くからなきゃダメなんです。」
「家どこだよ送ってやるぞ?」
体格のいい男4人に囲まれる。
こんな時の為に志々雄は宗次郎に刀を持たしてる。
が、使ったことは一回もない。
足には自信があるので走って逃げることのが多い。
今日もそうしようと宗次郎が駆け出そうとするが、押さえつけられるのが早かった。
「待てよ。送ってやるっていってるだろ?」
「コイツ、金平糖なんて買ってるぜ。残りの金あんだろ?」
「放してっ」
「うるせーな。とりあえず、どこかに連れ込むか」
男たちは勝手に決めて動きだす。
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