企画小説
□隣に居た貴方は………
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誰にだって自分が決めた道でも嫌になる時があるはずだ。
由美もそうだ。
毎日毎日、脂ぎった男たちの相手をするなんて堪えられない。
「駒形!!!」
「待て!!」
「あんたは一生鳥籠の中の鳥なんだよ!自由に飛ぼうなんて考えるんじゃない!!」
人の間を文字通り縫いながら走る。
後ろから追いかけてくる声を無視して由美は吉原と言う檻から出た。
「ここまで来たなら大丈夫かな?」
豪華な着物を引きずるように走り、吉原から離れた路地で息を整えた。
行く宛てなんてないから、ほとぼりが冷めるまでうろうろしようか。
由美は軽い足取りで角を曲がった。
ボッ
火と出会った。
「なっ!!」
「あぁ?女?」
暗い道にメラメラと燃える謎のものに囲まれた男と目が合った。
声からまだ声変わりして間もない少年だとわかる。
炎に照らされた少年を見て由美は首を傾げた。
(最近の男の子は髪を伸ばすのが流行りなのかしら??)
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