捧げ物+α

□不器用な会話の仕方
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隊長に嘘を言うのは嫌だったが、この説教の場を逃れられるのならいいかと思うようにした。

隊長の部屋を後に二人は先ほどのように背を向け合って座っている。


「助けられてなんて思ってないからな」

「助けたなんて思ってないさ。本当のことを言ったんだ」

「俺はお前とじゃれてるつもりなかったぞ」

「知ってる。でも、『何か話せ』って言ったのは左之助じゃないか」

「だからって・・・」


殴り合いの喧嘩まで行くのような嫌味なんて誰も言わないと思う。


「・・・痛いな」

「へんっ。克のへなちょこな拳なんか痛くないからな」

「・・・うん」

「・・・俺たち・・・仲良くできそうだな」

「うん」


お互いのイメージを崩すのにかなりの荒療治だとは思ったが克浩は左之助を笑顔で握手を交わせたので考えないことにした。







「子供って大人みたいだな」

「隊長?」

「いや、あの二人・・・仲よくなれたみたいだからな。」

「克浩が左之助を殴るなんて思いませんでしたがね」

「それが、左之との一番早い会話方法だって分かったんだよ」


笑い合う子供たちをみて相三は早く平和が訪れることを願った。








END
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