頂き物

□犬も喰わぬは
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居間で生気を無くし膝を抱える薫。

その傍らで弥彦と雅也が睨み合う。

「君は薫さんの何だい?」

「家族だ!」

「そう!なんだ弟くんかぁ!」

途端に笑顔になる雅也。

「言っておくが薫はお前なんかに靡かねぇからな!」

「わからないじゃないか。人の心なんて時がたてば変わる。不変なんて有り得ない。生まれてこれまでずっと一人の人が好きだという訳じゃないだろ?」


「それは…」

弥彦は薫の顔を見た。

雅也の言葉にはっとする薫。


確かに…幼い恋をした事もある…剣心も巴という妻がいた。


雅也は薫の手を取り優しく微笑み呟く。

「僕は薫さんだけを守るから。」

「!」






******



一方、剣心と令は川沿いを歩いていた。



思わず勢いで出て来てしまったがこの道を歩くと思い出されるのは薫からの『ずっと一緒にいたい』という言葉。



あの時どんな気持ちで言ってくれただろう。


妻をも惨殺してしまった、かつて人斬りだった自分といたいだなんて…



横を歩いていた令は、剣心の手を取り優しく微笑み呟く。

「剣心さんにあの薫さんって人は似合わないわ。剣心さんの事何もわかっていないじゃない。まだ子供ね。私なら剣心さんが怒るような事は絶対しないし言わないわ。」



「!」







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