捧げ物+α

□不器用な会話の仕方
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相良左之助はとにかく月岡克浩が嫌いだった。

別に深い意味はなにもないのだが、嫌いだった。

自分よりも先に赤報隊に入ったのだって気にいらない。

左之助は自分でも同じ年齢の子よりも背が高く体付もよくって喧嘩だって負けないと自負していた。

一方で克浩はひ弱で病弱のように見えるし、なによりも大人のように理屈で考える左之助がもっとも嫌いとするタイプだった。

いくら自分の憧れの人である相良相三に『仲良くしなさい』と言われても、自分が克浩よりも隊の中では後輩だとしても決して仲良くはしたくなかった。

なかったのにだ。


「・・・ちっ」

「・・・・」

「なんか言えよ、コラ」

「・・・うるさい」

「なんだと!!!」


そんな絶対に仲良くしたくない克浩と何が嬉しくって二人だけで過ごさないとダメなのだと左之助は膝を抱えた。

大人たちは他の官軍との総会にて留守。

その留守を二人でと頼まれたのだった。

少々不本意だったが隊長に言われた(左之助にしかこれは頼めないと言われた)ら『うん』と言ってしまう。

そんなので不機嫌になりながらも二人はお互い背を向け合って座っていた。

そんな沈黙に左之助が耐えられなくなっただけの話だ。








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