MAIN-K
□未定
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弥子の質問に対し、ネウロは重々しく溜め息を吐き、突然の訪問者を冷たく睨み据えた。
「何をしに来た、…………アゲハ」
アゲハ、と呼ばれた銀髪美女は、流麗な弧を描く柳眉を鋭く吊り上げる。
「何をしに来た、じゃないでしょネウローーーっ!!!」
美しいアルトの女声が、怒号となって部屋に鳴り響いた。
ネウロの名を知っている女性……アゲハに、弥子は大きく目を見開いた。
「え…、ネウロの知り合い……?」
ネウロは地上に来てから、極力目立たないように行動していた。魔界生物である自身を表に出さないために、わざわざ弥子を探偵役という隠れ蓑にして、自身は助手役に撤した。
そんなネウロの知り合いと言えば、事件現場で出会った刑事や、事件の犯人又は関係者ばかりだ。そしてネウロにとっての知り合いは、高い確率で弥子の知り合いに直結する。
ネウロの知り合いで、弥子が知らない人物は殆んどいない。
そう、“人間の知り合い”は。
それならば、今、目の前にいるこの女性は、もしかすると……。
「ネウロと同じ、魔界の、ヒト……?」
弥子の言葉に、アゲハは動きを止め、少しの間を置いて笑った。
「正解!
貴女がネウロの選んだ奴隷にんgy……もとい、パートナーのカツラギヤコちゃんね?」
「今明らかに奴隷人形って言おうとしましたよね? っていうか、何かこの会話、既視感が……」
「まあまあ気にしない気にしない! そんな眉間に皺寄せてたら可愛い顔が台無しよ〜、ヤコちゃん?」
ネウロとの出会いを思い出して悪寒を感じる弥子に、アゲハは陽気な笑顔を浮かべてみせる。
そして、弥子の頭を一撫でした彼女は、トロイに座って不満顔をしている魔人に蒼い瞳を向けた。
「……で、ネウロ。アンタには色々言いたいことがあるんだけど」
「我が輩には貴様ごときと話すことなど何もないが」
「アンタにゃなくても私にはあるの、山程ね!」
醒めた眼差しを送ってくる碧眼の魔人に対し、アゲハは人差し指を向けながら怒鳴った。
明らかに険悪な雰囲気を漂わせている二人の人ならぬ存在に、弥子は目を白黒させる。
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