MAIN-K
□未定
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結局は抵抗も虚しく、弥子がドアを開けることになった。
ネウロをしてカピバラや新たな血族を上回ると言わせるほどの脅威が、扉の向こう側にいる。
弥子は緊張で震える手でドアノブを掴む。
がちゃっ
ゆっくりと開けたドアが完全に開き切ったとき、
「くおぉぉるあぁぁっ、ネウ………ッッ!!!」
耳を劈(つんざ)くような怒声が正面から降り注ぎ、
「お嬢さん、私とお茶しない?」
驚い弥子が見上げた先にいたのは、魂を抜かれるほどに美しい顔で笑う女性だった。
「へ、あ……はぁ!?」
一瞬、目の前の女性に目を奪われた弥子は、自分に掛けられた言葉の意味を理解し、素っ頓狂な声を上げた。
目を瞬かせながら、目の前に立っている美女を改めて凝視する。
見たところ、二十代半ばくらいの年ごろの女性。
まるで絹糸のような、艶やかな光沢を帯びた白銀の髪は、腰まで伸びている。
海よりも深い色合いの瑠璃の瞳が、切れ長の眼尻と相まって知的な雰囲気を漂わせる。
透けるような白い肌に映える、赤い唇。
背は驚く位に高いが、優雅な曲線を描く肢体は実に女性的だ。
ワインレッドのノースリーブシャツと、黒のスキニージーンズが色白で細身の長身によく似合っている。
大胆に前を開いたシャツの胸元からは、銀の細い鎖を束ねたネックレスが覗いていた。
モデル雑誌でトップを飾っていても可笑しくないほどの美女だ。むしろハリウッド女優も霞むくらいだ。しかも、どう見ても日本人には見えない。
弥子は助けを求めるように背後のネウロを見やった。
「ね、ネウロ…このヒトだれ?」
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