MAIN-K

□未定
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 大体、何で私がいちいちあんな鳥頭を探すために右往左往しなきゃいけないのか。どうせ探しに行ったって、謝罪の一つもせずに嫌みったらしく鼻で笑うに決まってるし。いや、久しぶりに地上に行けるのは嬉しいんだけど、それがあの傲慢男に会うためだと思うと浮かばれない、全くもって浮かばれない。魔界中に使い魔飛ばして、それでも見つからないから、もしかしてどっかで餓死したのかと思ってたのに。こともあろうに地上に来てやがりましたよ、アンチクショー。あんな鬼畜野郎が何処に行こうが私の知ったこっちゃないが、探す方の身にもなれ。そして私の労力と魔力返せ!

 とか何とか、あの男に対する悪態を思いつくままに並べ立てていると、目的の建物が見えてきた。
 薄汚れた階段を上っていくと、質素なプレートの掛かったドアが見えてきた。



『桂木弥子探偵事務所』


 プレートにはそう書かれている。
 あの天上天下唯我独尊男がいるのは、ここで間違いない。

 私はやや乱暴にドアをノックする。ドアの向こうで人が動く気配がして、

がちゃっ

 ドアがゆっくり開き始める。
 私は中から顔を覗かせるであろう深緑の瞳に、あらん限りの罵声を浴びせるため、深く息を吸い込んだ。

 そして、ドアが完全に開くタイミングを見計らって、怒声を叩きつける。



くおぉぉるあぁぁっ、ネウ………ッッ!!!



 しかし、私の予想とは裏腹に、ドアの向こうから現われたのは、濃い茶色の瞳だった。
 思わず怒声を引っ込めて見下ろすと、金茶色の髪を短く切り揃えた可愛らしい人間の少女が、吃驚して私を見上げていた……ので、





「お嬢さん、私とお茶しない?」





 取り敢えず口説いてみることにしました。


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