MAIN-K
□未定
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「…………ム」
「……? どうしたの、ネウロ?」
吾代が持ってきた事件の資料に目を走らせていたネウロが、急に動きを止めて、事務所の入り口を凝視し始めた。彼の様子に、普段と違う気配を感じ取ったのか、弥子が不審そうな顔をする。
ネウロは弥子の問い掛けに気付いているのかいないのか、暫く入り口のドアを凝視したあと、小さく吐き捨てるように言った。
「…………来る」
「来るって……何が?」
「……ある意味では、南アメリカに生息する体長1m超の巨大ネズミより不愉快な生き物が、だ」
「えぇっ!!?」
あのネウロがカピバラより不愉快だと言う生き物がいるとは……。
弥子はもしかして、と最悪の可能性を思い浮べる。
「ネ、ネウロ…、それってもしかして、新たな血族のこと……?」
「違う。が、それよりも質(タチ)が悪いな」
「えぇ〜……」
弥子は心の底から嫌そうな声を上げた。
人類の進化系であり、人類を遥かに上回る悪意を持つ新たな血族。
その脅威は弥子も知っているが、彼らを上回る脅威が事務所に近づいているらしい。ネウロをして、新たな血族よりタチが悪いと言わしめる脅威が。
ネウロは顎に手を当てて考える。
「さて、どうしたものか……いっそ逃げた方が手っ取り早いか…? …いや、それはそれで面倒……あぁ、悩むまでもないな。すぐそこまで来ているようだ」
「ち、ちょ…っ、どーすんの!?」
ぶつぶつと呟くネウロのスーツの裾を掴み、事務所に迫ってくる脅威に怯える弥子。
「ふぅ…、やれやれだ……」
魔人が実に面倒臭そうに溜め息を吐いたとき、
どんどんっ
乱暴とも言える勢いのノックの音が、事務所内に響いた。
思わず身を竦める弥子を尻目に、ネウロは顎でノックされたドアを指し示す。
「ヤコ、出迎えてやれ」
「はぁぁ!? 何で私が……」
「心配するな、いきなり噛み付いてきたりはせん。多分な」
「多分て何だ、多分て!!??」
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