MAIN-K
□SMILE!!
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吾代は唐突に妙なことを言い出した少女探偵を見つめた。
いつものように化け物に呼び出され、資料を持って出向いた探偵事務所。
そこに呼び出した本人の姿はなく、代わりに少女探偵の姿があった。
弥子の話によると、ネウロは散歩がてら謎を探しに出ていったという。
呼び出しておきながら外出中とはどういう了見だ、あの化け物。
吾代は内心舌打ちをしたが、あの化け物に文句や不平不満を並べても仕方ないかと思い直す。
資料は頼まれた分をしっかり持ってきたのだから、後は探偵に預けて帰るか、と思案する。
しかし、彼がその考えを口にする前に、弥子が笑顔で茶を出してきたのだ。
――吾代さん、折角来たんだから、お茶でも飲んでゆっくりしていってよ。
毒気のない笑顔で誘われれば、無下にすることもできず、吾代は弥子の正面のソファーに腰を下ろした。
そのまま、茶を飲みながら雑談を交わしていたとき、弥子が思い出したかのように何気なく言った。
――吾代さんて、いっつも眉間に皺寄ってるよねぇ。
彼女の言葉を脳内で反芻しながら、吾代は元々深い皺のある眉間に、更に深い皺を刻んだ。
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