2.山でのこと
□2.山でのこと
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この話は、聞いた話である。
聞いた時この話に対して気味の悪い気持ちなど、色々な感情が交差した。
次のような話である。
それは、長野県にある美しい山を登山をしていた時であった。
もう夕方である。
山小屋はもう少しでつくので、一旦休憩をしていっきに登ろうとした。
雨が降っていた。
雨を気にせずに、雪渓を過ぎた石段のところでやすもうとしたその時。
下山をしてくる人がいた。老人だ。
いつもなら挨拶を交わすのだがその時はその気分になれなかった。
そして、その老人は一言言ってきた。
『ゆっくり休め』
いつもなら、その一言は嬉しいものだが、なぜかそのとおりにしてはいけない気がしたらしい。
急いでリュックにビニールで仕分けた荷物を入れ、立ち上がり、歩きだした。
その時だった、10メートルくらい進んだその瞬間音がした。
後ろを振り向くと、1メートル位の岩がちょうど自分が休んでいた所に落ちていたのだ。
あの時あの老人の言葉を聞き入れて休んでいたら、死んでいたかもしれない。
それよりも、あの時間に下山は危ない。
しかもあの老人あの段差のある石段をエスカレーターで降りるように行ったのである。
まるで浮かんでいるように。
一言の言葉で変わってしまうような世の中。