!STORY

□END ROLL.
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それはとても晴れた日だった。


あなたは突然「日本に行く。」と言った。




不安で不安で、
「もう帰って来ないの?」なんて聞いてしまった。

チョコをかじりながらただ一言、
「必ず帰ってくる。」と言った。






「帰ってくる」の一言を
あの頃の私は信じてました。
幼いなど言い訳していた私は愚かでした。


「帰ってくる」と言う言葉は私への約束ではなく、あながあなた自身に言い聞かせていたのでしょう。


どうして気付こうとしなかったのか、
今でも悔やまれます。




あの日あなたは普段通り出て行きました。
あの時どれだけの不安を感じていたのでしょう。
どれだけの悲しみを背負ったのでしょう。

もう帰ってくることはない、と一人泣いたのでしょうか。





ありがとうと伝えられなかった。
大切だと伝えきれなかった。




後悔ばかりが先立ちます。
あの日の後ろ姿を今でも私は追っています。




あの日以来
玄関に靴は一足だけ、
私の小さな靴だけ。




二人描いた未来は
実現することなく
永久に夢のままです。




私はただただ願います。どうか最後の瞬間、
あなたが安らかであったように。



苦しむことなく、
その信念が貫かれたことを祈ります。





2008.9.4

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