にゃ〜の小説
□アリスの日記
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全ては『ティアル』という世界から始まる…。
『ティアル』という世界では様々な町、村、王国が点在している。
そして、幾つもある王国の中でも特に栄えているのが、
『バルト王国』
この国は他の国よりも特に商業で財を築き上げました。
バルト王国で生産された食物や衣服、様々な生活用品までもが他の町、村、国に流通していた。
これほどまでに繁栄したのは王のカリスマ性、厚い人望の賜である。
バルト王国の人口は約200万人。広く国土と豊かな水に恵まれていた。
バルト王国の周囲は高い城壁に囲まれている。北門、南門とあり門番の兵士がそれぞれ2人ずつ配置されている。
その南門の外の近くで薬草を摘んでいる1人の少女がいました。
バルト王国の、15歳にして王にも認められた治療師、名を
『イヴ』といいます。
「えーと、この薬草と、あとこっちの草も」
門番の兵がその様子を見ながら、
「イヴ殿、薬草を摘まれましたら早急にお戻り下さい」
「そうでございます。いつ『妖魔』が来るか分かりませんぞ」
『妖魔』というのは近年になって現れた謎の存在。妖魔に襲われ、滅びた町や村も少なくはない。
「大丈夫ですよ。必要な分の薬草を摘んだら戻りますから」
一方、バルト王国の南門からまっすぐ1q程離れた場所に人影がある。鞘に納められた刀を杖の代わりにし、ゆっくりと歩いていた。
「はぁ、まだ何も見えないかな?」
『う〜ん………あっ!アリス、城壁が見えるよ!きっと何処かの国だよ』
「やっと、着いたんだね……」
先程から2人で会話をしているが、正確に言うと2人ではないのだ。
アリスと呼ばれた少女の肩に青く、小さな狼が浮かんでいる。
まるでぬいぐるみの用だが、そうではなかった。この狼は先程から少年の声でアリスと会話をしている。
名前は……、
『あっ、僕の名前はフェンリル、漢字で書くと【氷狼】だよ〜』
だそうだ。
「フェンリル、誰と話してるの…??」
『いや、あまり気にしないで。それより早く進もう!』
「うん……?」
一方、こちらは南門。
門番の兵士が何かに気付いた。
「ん?何かがこちらに近付いてきます!」
「まさか妖魔か!」
まだ薬草を摘んでいたイヴが、
「違いますよ、あれは……人です!足取りが遅いみたいだし、助けないと!」
「ならば、私もイヴ殿のお供をしましょう!」